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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「まだ慣れてないせいもあって、名前を呼ばれると嬉しさに息苦しくなる。そうやってじっと見詰められると、心を掻き乱されて堪らなくなる。これから毎日こんな調子じゃ、とても心臓がもちそうにない」
-責任とってよ、泉夏。
秀王のからかいに、泉夏は頬を染める。
「…じゃあ、もう名前を呼ばなきゃいい?見ないようにすればいい?」
「それはだめだ。俺の楽しみを奪う権利は、泉夏にもない」
真顔で速攻却下され、泉夏は泣き出したくなるほどの愛おしさを感じる。
「…秀だって、いつも私を乱してる」
「え?」
「そんな事を言われたら、また好きになる。こんなに好きなのに、もっと好きになる。どうして私を、こんなに夢中にさせられるの」
零れそうになる涙を抑え、泉夏は彼に問い質す。
「たった今、もっともっと好きになった。こんなにあなたに夢中にさせて、私をどうするつもりなの」
-教えてよ、秀。
泣き笑いのそれで、泉夏は彼を求めた。
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