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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
泉夏の潤んだ瞳に射抜かれ、秀王は瞳孔を広げた。
ふたりの足は自然、その場で止まる。
暫しの沈黙を経て、秀王は語り始めた。
「泉夏は俺より十も年下で、泉夏の人生は正にこれからだ。夢も希望も、これからの努力次第で、いくらでも叶える事が出来る。泉夏が覚悟して決めた事なら、どんな事でも頑張って欲しい。泉夏になら必ず出来る。俺で力になれる事ならなんだってしてあげたいし、心の底から応援する」
いつの間にか、頭上に散っていた桜の花びら。
泉夏の頭からそれを払ってやりながら、その可憐さに秀王は目を細めた。
「泉夏の明るい未来の…万が一にも重荷にはなりたくない。それは俺の本意ではない。将来を考える上で、もしかしたら負担や迷いに生じるかもしれない事を…今は、はっきりは言えない」
-だけど。
秀王は、繋いだ泉夏の右手の薬指を見た。
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