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桜の季節が巡っても
第16章 永劫の春
「泉夏がいいと言うまで待つから。いつまでも待つから。だからもし叶うなら。その時がもしも来たとしたら。泉夏に言いたい事がある。だからその時は、俺の話を聞いて欲しい」
-その約束は、今してくれる?
真摯に問われ、泉夏は深く頷いた。
未来の約束を確かなものとしてくれた泉夏に秀王は安堵し、彼女の右手から指輪をそっと外した。
泉夏は驚きに息を呑む。
それを、どうするつもり?-見守っていれば、彼は少しの躊躇の後(のち)、外した指輪を左の薬指に嵌めてきた。
「そして…いつかこうなったら、嬉しい」
遠慮がちに口元を緩める彼に、泉夏の目尻に涙が滲んだ。
柔らかな春風が、ふたりの間を吹き抜ける。
一片(ひとひら)、二片(ふたひら)、花びらが踊る-あの時と同じように。
「…来年も、再来年も。ずっと一緒にいられる?」
泉夏の囁きに、秀王は間を置かずに答えた。
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