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桜の季節が巡っても
第3章 恋慕の秋
けどさ-。
怖過ぎだっつーの-見慣れてるはずの自分が、こんなに躊躇うくらいだ。
逡巡していると、不意に辺りを見回した彼と、ばっちり目が合ってしまう。
大樹を盾にし、咄嗟に隠れる。
「流川…?」
一瞬焦った大樹だったが、だが程なく何かで頼りにされてるとでも思ったのか、すぐに満更でもなさそうな顔になる。
「泉夏?お兄さんいないの?」
一緒について来た麻衣は、挙動不審な親友のその先を見遣る。
「…流川」
背を通して、大樹の自分を呼ぶ声が聞こえる。
「お兄さんちょっと…いや、かなり不機嫌そうだけど…?」
夕べ軽く灸を据えられた大樹は既に引き気味だ。
「流川。お兄さん、こっちに来いって言ってるみたいだけど…?」
「え?何?どの人が泉夏のお兄さんなの、伊東君」
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