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桜の季節が巡っても
第3章 恋慕の秋
「何の嫌がらせなの?ね、何なの一体?!」
食堂を出て、人気のなさそうな小さな教室に入る。
幸い誰もいなかったので、入室して即、泉夏は彼に詰め寄った。
「どうしてこんなとこにいるのよ。仕事さぼって何してんのよっ」
大学では滅多に目にする事のない泉夏の姿に、なんとなく後を追って来た麻衣と大樹は黙って見守るしかなかった。
肩で息をつき怒鳴り散らす泉夏と対照的に、龍貴は少しも動じる事なくのんびり答えた。
「…お昼ご飯?」
そんな訳ないでしょっ-再度叫びそうになった泉夏を、非常に嫌な予感のする流し目で龍貴は制した。
「な、なによ…?」
思わず、泉夏は数歩後ずさる。
「さっき、他人の振りをしてたひとは誰だったかなぁ」
龍貴は泉夏ににじり寄った。
早くも形勢逆転だった。
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