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桜の季節が巡っても
第3章 恋慕の秋
「すっごい、傷付いたんだけど。この硝子の心が」
あっと言う間に、壁際に追いやられる。
「…あ、当たり前じゃないの!こんなにど派手な人と知り合いだなんて知れたら私、明日から大学来れなくなっちゃうよ」
「恥ずかしいって?」
「…龍貴が、ってわけじゃなくて。注目を浴びるのが嫌って言うか」
「か?」
龍貴の顔が近付いた。
泉夏の胸が大きく波打ち始める。
「まず派手とか恥ずかしいとか以前に、龍貴の場合、第一印象半端なく怖いからっ!」
今日は絶対、負けないんだから-泉夏は龍貴の目の前をすり抜け、再び大樹の後ろに隠れる。
少し前まで大樹に腹が立っていた事を忘れてはいない。
が、自分一人では到底太刀打ち出来ないので、頼りにしてみたのだが-。
「お、お兄さん。あの、昨日は…」
改めて龍貴を前にし、緊張でがちがちの姿を見ると、限りなく期待薄だった。
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