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桜の季節が巡っても
第3章 恋慕の秋
「ああ、伊東君。泉夏呼んで来てくれてありがとう。もう-」
-用は済んだから行っていいよ。
残酷な言葉を告げられようとしたのだが、大樹は全く気付きもせずに、
「昨日は本当に済みませんでした!流川…泉夏さんにも失礼な事をしました。もうあんな事二度としないので-」
-だから許して下さい。
そう続けようとするのを、龍貴は面倒臭そうに遮った。
「いや、昨日の事はもうどうでもいいからさ。謝るなら泉夏に言って、後は二人で勝手に解決しといてよ。そんな事より俺、少し急いでて-」
酷い-口調は優しいが、話してる内容は何気にぐさぐさくる。
龍貴に全く相手にしてもらえていない大樹が流石に気の毒に思え、泉夏は彼の表情を窺うのだが-意外にも明るい笑みを浮かべていた。
許してもらえた-そう解釈して、胸のつかえがとれたらしい。
かわいそうに思えるが、本人が嬉しそうなので良しとしていいのだろうか。
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