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桜の季節が巡っても
第3章 恋慕の秋
「有栖川秀王先生の部屋は?」
龍貴は、泉夏の耳元に囁いた。
「…!」
有り得ない-泉夏は龍貴を強張った顔で見た。
「まさか本当に調べたの?」
そうでなければ何故あのひとの事を知ってる?
みるみる怒りと羞恥で泉夏の頬が染まってゆく。
口では色々揶揄してくるけれど、本気の恋をからかうようなひとではないと思ってた。
ショックを隠せない泉夏に、龍貴は苦笑いした。
「そんな事するほど暇じゃないって、俺言わなかったっけ?」
「…」
「お前を泣かすような事は絶対しない、とも言ったはずだけど?」
「…でも、だって」
-じゃあ、なんで知ってるの?
眉間に深い皺。
涙が零れるのも時間の問題だった。
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