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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
「流川、今日いつもと髪型違うね」
控え目に、大樹が尋ねてきた。
「あ、うん…今年最後の大学だしとか、思ったり思わなかったり。…特に深い意味はないんだけどね」
「似合ってるね。…あ、俺に言われても嬉しくないかもだけど」
遠慮がちに薄く微笑まれ、泉夏は戸惑ってしまう。
「あ…ありがと」
それでもどうにか泉夏が呟けば。
大樹自身言い慣れてないのに加わえ、予想外に感謝までされたものだから、照れてるようだった。
こちらの事はまるでお構いなしに、自分の気持ちだけをぶつけてくる人だと思ってた。
けれど日が経つにつれ、ただちょっと不器用なだけなのかも-そう感じるようにもなっていた。
秋に横断歩道でいきなり告白された後。
好きなひとがいるときちんと断ってから、それ以上しつこくされる事もなかった。
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