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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
「泉夏!いきなり飛び出してってどうしたの?」
1号館のカフェテリアに戻ると、麻衣が心配そうに駆け寄って来た。
何があったのか問い詰めようとしたが、泉夏のすぐ後に准教授の姿を認めそれを控えた。
「先生が帰るところをちょうど見つけたから、今年最後に分からないところを教えてもらおうと思って」
-連れて来たの。
屈託なく笑う泉夏を、麻衣は少しの驚きをもって見つめた。
泉夏は荷物を置きっぱなしにしていたテーブルまで、秀王を従える。
「先生、ここでいいですか?」
「構わない」
秀王はコートを脱いで、その場に着席した。
「麻衣、ちょっと付き合ってもらっていい?」
なるべく人の多い場所で。
決して二人きりにはならないように。
誰の目から見ても、先生と質問する学生の関係だけに映るように-実際、その通りなのだけど。
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