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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
「うん、いいよ」
勿論-麻衣は大きく頷いた。
「ありがと」
いつも黙って側にいてくれる親友が-本当にありがたかった。
もっと周りの注目を浴びてしまうかな-思ったが、そんな事もなかった。
学生の姿は段々まばらとなっていたし、残っている人達も明日からの冬休みの予定に花が咲いていた。
准教授がいる事に気付いた学生達の反応も、勉強を教えるのかな?程度だった。
未だ泉夏の隣りにいた大樹が、自分の荷物を持って静かに立ち上がった。
「流川、俺そろそろ帰るね。また来年」
「あ、うん」
「伊東君、またね」
麻衣が手を振った。
大樹は薄く笑って手を振り返した-彼女の片想いの相手が誰かをなんとなく察し、寂しさを覚えながら。
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