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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
「…邪魔だったんじゃないのか?」
鞄から眼鏡ケースを出しながら、秀王は大樹の背中を目線で示した。
「…誰が誰の邪魔?」
瞬時に、泉夏の表情が強張る。
「私が、彼の」
「…先生の言ってる意味が私、分かりません」
「…気のせいならいい。何でもない。済まなかった」
「……」
俯いてしまう。
なんでそんな事言うの。
どれだけの勇気を振り絞って、あなたの元まで走ったか知っているの?
何も知らないくせに。
だからそんな事が平気で言える。