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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
でも。
なら。
伊東君の私への気持ちだって気付かなくていい。
気付かないままで、いてよ。
気付かないふり、していてよ。
なんで彼の想いはすぐに解したくせに、私の事はいつまでも分からないまま?
同じように、私の心も覗いてみせてよ-。
親友にしてはかなり自分を奮い立たせて、ここまで連れて来ただろうに-二人の不穏な雰囲気を、麻衣はなんとか壊そうと努める。
「先生がこんな早い時間に帰るなんて珍しくないですか?何か用事があったとか?大丈夫ですか?…ね、泉夏、早く始めよ」
麻衣の言葉に、泉夏は頭を上げた。
「先生、忙しかった?私、無理矢理、先生を誘ってしまった?」
そんなところまで気が回っていなかった。
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