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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
私が本当は授業の質問なんかが目的じゃないって、とっくに気付いていた。
気付いて-でも毎週付き合ってくれていた。
気付いていないのは、あとひとつ。
気付いて欲しいのは、たったひとつ。
聡明なあなたになら簡単な問題でしょう?
いつになったら解いてくれるの?
はやく。
はやくして。
私、もうずっと待ってる。
私、先生を春からずっと、待っている-。
「…先生」
シャープペンを持つ手が止まる。
泉夏の顔を見こそしなかったが、彼の目線がノートよりも上を向く。
「私も、先生に聞いても?」
彼女もまた秀王の端麗な相好ではなく、ダークグレーのネクタイの結び目辺りをじっと見つめる。
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