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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
少し離れた場所で通話を始めた秀王を眺め、泉夏は力なく呟いた。
「…彼女かな」
「え。まさか」
麻衣は即、否定する。
「仮にも職場で、しかも私達の目の前で、そんな電話とらないでしょ普通」
「…」
あなたに恋した時からずっと気になっていた。
あなたが恋してる人がもしいたら-どうしようと。
それなのにずっとあなたを好きでいる私だったらどうしようと。
通話を終えた彼が戻って来た。
「済まない。用事でもう行かなくてはならなくなった。続きはまた-」
-来年に。
申し訳なさそうな秀王を、泉夏は遮った。
「彼女ですか?」
「え?」
「今の電話、彼女から?」
麻衣は絶句して、隣りに座る親友をまじまじと見つめた。
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