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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
「泉夏ちゃんがいたんだわあ!」
「え?えっ??」
泉夏は突然のご指名に激しく戸惑う。
「泉夏ちゃんがいるじゃないの。泉夏ちゃんなら私が昔から実の娘みたいに可愛がってきたし、あの子が外見ほどそう悪くないって理解もしてくれてるし。なんでもっと早くに気付かなかったのかしら!」
百合子の瞳が、きらきらし始める。
「あの子じゃだめ?泉夏ちゃん?」
冗談だよね-思うものの、自分を見つめる両眼は決して笑ってはいない。
「いや…私とじゃ年が離れ過ぎって言うか?第一私の事なんて眼中にないって言うか…?」
同じだけ離れてる別の男のひとに恋しているとは-絶対に言えない。
いつの間にこんな話題の展開になったのか。
うわ、どうしよ-困り果てたその時。
「眼中にないなんてとんでもない-」
いつの間にか、背後に誰かの気配。
後ろから、優しく抱き締められる。
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