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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
「でもあいつ、俺の連絡先は知ってるはずだけど。大学の時教えたし。あれからずっと変えてないから、電話でもメールでもしようと思えば出来ると思うし。寧ろ大学卒業してすぐにどっちも変えておきながら、連絡寄越さなくなったのは先生の方だ」
「そうなの?」
「そう、だからあれでちょうど交換されたの。尤も、その名刺はお前にすぐ渡しちゃったから、未だに俺は知らないままだけどな」
言って、龍貴は国道添いのファミレスの駐車場に車を停めた。
「家出てから結構時間経っちゃったし、もうここでいい?」
「私はいいけど。ケーキ御馳走になったから、あんまお腹空いてないし」
「だからね。そもそもなんでケーキかっていう…。年始にケーキ?もっと気を利かせて、酒とか持って来いって話だよな」
「酷い…。折角持って来てもらった物に、けちつけるとか」
「あのさ、家にケーキあっても食べるのはお袋だけなの。消費出来ないと結局捨てる羽目になるの。だから昼飯に食べろとか言われるんだって」
車のロックを解除し、シートベルトも外す。
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