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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
ようやく大樹達が会話を始めてくれたので、泉夏も多少は心が解れてくる。
「食べた?」
龍貴が覗き込んできた。
皿にはまだ八割方残ったままの料理。
「え?もしかしてもういらないとか?」
「…もうちょっと頑張ってみる」
ケーキと、緊張とで、食欲がこれ以上湧きそうもなかったが、仮にもお金を出してもらうのにこんなに残すのはいくらなんでも失礼だな-フォークを動かし始める。
「お前って昔から食が細いよな」
「…まあ、沢山は食べれる方ではないね」
「太れとは言わないけれど。もうちょっとふくよかになった方が、俺は好きだけど?」
顔を寄せ、こっそりささめく龍貴に、泉夏は頬を染めた。
「そういうのがセクハラだっつーの!有栖川先生はそんな事絶対言わないんだからっ」
「先生が口にしたらそりゃ即クビかもだからなあ…でも、心の中では思ってるな絶対」
「思ってない。絶対そんなひとじゃないもん!」
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