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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
「…龍貴は凄いなって思ってたの。今日会ったばっかでも、すぐに誰とでも打ち解けられるし。生まれ持った才能だなって。そういうの見てたら、私も暗い気持ちにならずに済んだし。それでちょっと、み…見惚れてただけ。これでいいでしょ、ちゃんと言ったよっ」
龍貴の温かな息遣いをこれ以上ないくらい近くに感じ、泉夏は相当困り果ててしまう。
頼むからもうやめて欲しい。
「泉夏、お前伊東君にちゃんと断ったの」
ミントの香りと共に龍貴は囁いた。
全く別の話題を振られ、身構えていた泉夏は拍子抜けする。
「えっ?」
「さっきからずっとお前の事見てるよな。実に分かりやすい」
「…断ったよ」
「冬休み中にファミレスで偶然会って、再燃しちゃった感じ?俺が一緒なのに、よく誘えたよな。その勇気に免じて一緒に食事してやったけど」
そういう誘いだったのか-泉夏はようやく理解する。
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