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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
連動するように手も小刻みに動き出し、慌てて両手を背後に隠す。
こんなことぐらいで-馬鹿みたいだと笑われたくない。
泉夏の様子に何かを言いかけたが、秀王はすぐに口を噤んだ。
しかし、少しの思案の後(のち)、今度こそ声を紡いだ。
「去年と同じだ」
「え…?」
「休み明けは何故か必ず朝に会うらしい」
泉夏は小さく頷くのがやっとだった。
どうしてあなたはこんなにも、私が悦ぶ術(すべ)を知っているの?
覚えていてくれたの。
私は当然覚えてる。
忘れるはずがない。
夏休み明けの初日の早朝。
桜の木の下のベンチ。
あなたに久し振りに逢った、秋。
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