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桜の季節が巡っても
第1章 心恋の春
入学式で初めて出逢ってから二週間。
久し振りの再会は自分が想像していた以上で-悦びに心が、身体が、震えてしまっていた。
式の当日は危うくぶつかりそうな距離まで、いつしかお互い近付いていた。
『…済まない』
たった、一言。
彼は腰を上げ、すぐにそのまま去って行った。
それ以来の、再会だった。
明日が初めての先生の授業。
それを思うだけで、夕べは殆ど眠れなかった。
何か少しでも話しかけられたらいいのだけれど-多分、自分にはそんな勇気はない。
ならせめて、最も近い場所で九十分間、あのひとを見つめていられたら-一番乗りで最前列真ん中の席を取ったのだ。
それだけで十分、だったのに。
「挨拶…出来た。おはようって、返してくれた-」
火照った顔を両手で押さえ、泉夏は両足をばたつかせる。
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