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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
あのひとを。
忘れられれば。
あのひとを。
忘れないと。
あのひとを。
忘れる。
あのひとを。
どうやって。
あのひとを。
どうして。
あのひとを。
私の思い出から消さなければならないの。
あのひとが私の隣りにいないのは耐えてみせる。
でも私の記憶の中からだけはどうかお願い、いなくなったりしないで-。
再び、信号で車は静かに停まる。
嗚咽を上げる泉夏の頭を、龍貴の左手が優しく撫でた。




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