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桜の季節が巡っても
第5章 別離の春
「夜遊びの帰り?」
夜道を並んで歩きながら、龍貴は尋ねた。
「…カラオケ」
「しかしお前好きね、カラオケ」
龍貴のからかいに、泉夏は抑揚なく呟く。
「…別に。ただの付き合い。どっちかって言うと、今はそんな気分じゃないし」
「なに?なんかあった?」
「…龍こそ、なんでこんなとこ歩いてたの」
「煙草買いにコンビニ」
「え、持ってなくない?」
ビニール袋を下げてない龍貴に、泉夏は不審な目を向ける。
片頬を歪め、龍貴はジーンズのポケットからセブンスターを一箱取り出した。
「わざわざ一箱買いに?カートン買いじゃなかった?」
「いや、あればあるだけ吸ってしまうから。ちょっとは控えようかと?」
「え、遂に禁煙するの?」
信じられず、思わず大きな声を出してしまう。
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