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桜の季節が巡っても
第5章 別離の春
「…ちょっと、胸に触れたもん」
「たまたまだ。触ろうとして触ったわけじゃない。第一減るもんでもないだろ」
「あのねぇ…!」
全然悪気のない龍貴に抗議しようとしたが、遮られる。
「暗闇で胸少し揉んだぐらいで何が楽しいんだ。この際だからはっきり言っとくが、俺はやるなら明るい所で堂々とする」
「…なんの宣言よ」
呆れてもう怒る気も失せる。
そうこう言い合っているうちに、彼の家の前まで来た。
「え、家-」
-帰らないの?
歩みを止める事なく素通りする龍貴の背中を追いかけ、泉夏は尋ねる。
「馬鹿。この暗いのに女一人で帰すか」
-なんかあったら涼に殺される。
龍貴は付け足した。
「…お兄ちゃん飲み会でまだ帰ってないから大丈夫だよ」
「言われてみりゃそうだな。いつもなら門限八時を過ぎたら必ずお兄ちゃんのお迎えなのに、今日は姿が見えないもんなあ」
泉夏の言葉に、龍貴は喉を鳴らした。
そんな龍貴の横顔を、泉夏は気付かれないよう窺った。
「たまたまだ。触ろうとして触ったわけじゃない。第一減るもんでもないだろ」
「あのねぇ…!」
全然悪気のない龍貴に抗議しようとしたが、遮られる。
「暗闇で胸少し揉んだぐらいで何が楽しいんだ。この際だからはっきり言っとくが、俺はやるなら明るい所で堂々とする」
「…なんの宣言よ」
呆れてもう怒る気も失せる。
そうこう言い合っているうちに、彼の家の前まで来た。
「え、家-」
-帰らないの?
歩みを止める事なく素通りする龍貴の背中を追いかけ、泉夏は尋ねる。
「馬鹿。この暗いのに女一人で帰すか」
-なんかあったら涼に殺される。
龍貴は付け足した。
「…お兄ちゃん飲み会でまだ帰ってないから大丈夫だよ」
「言われてみりゃそうだな。いつもなら門限八時を過ぎたら必ずお兄ちゃんのお迎えなのに、今日は姿が見えないもんなあ」
泉夏の言葉に、龍貴は喉を鳴らした。
そんな龍貴の横顔を、泉夏は気付かれないよう窺った。

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