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桜の季節が巡っても
第5章 別離の春
「お兄さん流川の事好きなんですか?」
龍貴の纏う圧倒的な迫力にも、この時ばかりは大樹も負けていなかった。
「えっ?」
泉夏は大樹が何を言ってるのか、すぐには理解出来ない。
でもそう言えば-いつかそのような事を訊かれた記憶が甦る。
だから違うって!-抗議しようとして、龍貴の手に制された。
「一応訊くけど。それは恋愛感情としての好きって意味?」
「そうです」
「もし好きだと言ったら?」
龍貴は静かに問う。
「…俺も好きだから負けられない。負けないって言おうと思って」
強い口調で言い切る大樹に、側で聞いていた泉夏は息を呑む。
間接的とは言え自分への告白を聞き、穏やかではいられるはずがなかった。
「…泉夏はあれからきちんと伊東君にお断りしたって俺に言ってたけど、まだ諦めてなかったの?」
わざと恥をかかせるかのような龍貴の物言いに、大樹の顔が赤らむ。
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