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桜の季節が巡っても
第5章 別離の春
しかし。
大樹は畳みかけるように続けた。
「確かに一度断られました。でもやっぱりどうしても好きで。どうしても諦め切れなくて。だからもう一度、もっと自分を磨いて、次こそは流川に受け入れてもらえる男になろうって」
土曜日午後のファミレスの駐車場は、それなりに出入りが激しい。
車から降りたり-乗ろうとしている人達が、先程から三人の様子を窺いつつ過ぎていく。
痴話喧嘩か何かだと思われてるのかもしれない。
まじまじと見て行く人は流石にいないが、興味ありありなのは明らかだった。
少なくとも普段の泉夏なら、恥ずかしさの余り一刻も早くその場を立ち去りたいところだ。
だが今は、目の前で繰り広げられている出来事を追うのに精一杯で、そんな余裕は全くなかった。
「…へえ、偉いね」
龍貴の口角が吊り上がる。
「一番手強い相手がいなくなったから、後は二番目だけだと思ったわけだ」
揶揄され、大樹は言葉に詰まる。
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