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第5章 別離の春

剣呑な炎が龍貴の瞳に宿る。
二番目だなんて、随分俺も侮られたものだなあ－前置きした上で続ける。
「俺は最初の男よりも性質（たち）が悪いかもよ？」
腕を組み。
龍貴は精悍な顔立ちに、これ以上はないだろう色気を含んだ微笑を浮かべた。
大樹は固唾を呑む。
泉夏は龍貴の横顔から目を逸らせない。
「好きだよ」
龍貴がゆっくりと、言を紡いだ。
「俺も好きだよ、泉夏を」
入店しようとしていた学生らしきグループが、擦れ違いざまに聞き耳を立てているのもお構いなしに、龍貴は堂々と言い放った。