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桜の季節が巡っても
第6章 落涙の夏
「見ないで」
彼の横顔を睨む。
「…見ないでと言う方が難しいだろ。…それに、変な意味じゃない」
溜め息を吐き、秀王は額を指で押さえた。
「冷房の風が直接当たって寒くないかと思っただけだ」
「…平気です」
スカートの裾をなるべく伸ばし、脚を隠そうとする。
しかし今日履いていたのは、彼女が持ってるスカートの中でも特に長さが短いもので-効果は期待出来なかった。
ああ、やっぱり失敗した。
急いでいたけど、やっぱり着替えてくれば良かった。
後悔が泉夏を襲う。
彼の講義の日は品がなさ過ぎないよう、これほど丈の短いものは選ばないようにしていたのに。
一年間の苦労がたったの数十分で台無しだ。
また一つ、泣く理由が増えてしまった-。
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