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桜の季節が巡っても
第6章 落涙の夏
押し黙る泉夏に、秀王は少し困ったような笑みを浮かべた。
「転職をしようと思って」
「えっ?」
「それで大学は辞めた」
「転職…」
「そう。よくある話だろ」
「……」
あるのかないのか-まだ学生の自分には、正直よく分からないけれども。
もっと別の悪い理由を言われるんじゃないか-漠然と思っていただけに、とりあえず安堵する。
「今度は…どんなお仕事をしてるの?」
教えてくれるかな-遠慮がちに尋ねたが、意外にもあっさりと彼は答えた。
「まあ、似たような仕事だ」
「他の大学に行っちゃったの…?」
明確な返答の代わりに、秀王はほんの僅か目を細めた。
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