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第6章 落涙の夏

その曖昧さが不安という名の棘と変化し、胸を刺す。
胸の奥底がちくちく痛む。
理由なんてない。
ただの直感。
もっと掘り下げて訊けば教えてくれるかもしれない－でも、なんだか嫌な予感がする。
彼がいなくなり。
電話もメールも繋がらず。
途方に暮れて必死に考えたのは－他大学のホームページを探し、教員欄に彼の姿を求める事。
退職したとしても、何かしら仕事をしないと生活は出来ない。
だから単純に考えて、別の大学に再就職したのではと考えたのだ。
暇を見つけては最初は近郊の。
次はもうちょっと遠く。
段々と範囲を広げてゆき－関係ありそうな学部がある大学は、殆ど一通り確認した。
龍貴に知れたら『ストーカーかよ』って、笑い飛ばされそうだけれども。