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桜の季節が巡っても
第6章 落涙の夏
余計だなんて。
私は寧ろ、先生が話してくれて嬉しかった。
そして、シロが死んじゃったのは本当に残念に思うけれども、少なくとも冬休み前のあの日じゃなかった-それがようやく分かって、少しだけ心が楽になった。
密かにずっと、気になっていたから。
「…去年の夏からもういよいよ長くないと知らされていて。それで今回大学を辞める決心が遂についた」
「え…?」
「本当は大学に入る年から行こうと思っていたから、十年以上も経ってしまったけれども。ちょうどその頃、公園で拾ってしまったからな。遅かれ早かれ必ず寿命がきて、恐らく自分よりも先に別れなければならないのは重々承知していたのに。もう二度と飼わないと決めていたのに。…でも、あんな瀕死の状態でいる姿を見てしまったら、飼わないわけにはいかなくなった」
「…前も、飼っていたの?」
かなり昔に-泉夏の質問に、秀王は言った。
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