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桜の季節が巡っても
第6章 落涙の夏
「でも今、本当にひとりになって。もう思い煩う事も、ものも、何もかもがなくなった」
-思い残す事なく、やっと行ける。
先生!
だから、どうして?
ひとりって、なんで?
私がいる。
私じゃだめ?
なんでだめ?
どうしてもだめ?
「…先生は、嘘つきです」
泉夏は今しも零れそうな涙を耐え、彼を睨んだ。
こんな燃えるような、憎悪にも似た感情を宿した瞳で、彼を見るなんて。
まさかそんな日が来るだなんて。
秀王は無言で微笑み、泉夏を見た。