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桜の季節が巡っても
第6章 落涙の夏
「もう大学を辞める事なんてとっくに決めてたくせに。二年生になってもまた勉強を教えてくれるだなんて、守れない約束をして。そしてそのまま、なんにも言わずにいなくなった…!」
激しくなる、口調。
「名刺の裏に書いた携帯の電話番号も、メルアドも。何回かけても、何回送っても、全然繋がらなかった。最初から故意に、繋がらないものをわざと書いて寄越した。なんでそんな事する必要があるの?」
-嘘つき!
限界だった。
今日は一日、泣き通し。
大粒の水滴が、スカートを濡らしてゆく。
その痛々しい様子に秀王は眉を一瞬寄せたが、冷静な表情は崩さなかった。
「今更弁明なんて聞きたくもないだろうけれど。電話番号は本当だ。三月末までは、きちんと繋がるようになっていた…知らない番号以外は。大学を辞めてからは本当に僅かの、必要最低限の着信以外は拒否設定にしていたが」
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