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桜の季節が巡っても
第6章 落涙の夏
「今日メールをくれたのは、名刺を龍貴から借りて?」
それ以外には彼女は知る由もないのに、あえて秀王は尋ねる。
直接自分が教えてもらっていないのに、人づてにメールを送りつけるのはどうだろうと勿論考えたが-そんな事も言ってもいられず。
その事を咎められる?-思ったが、違った。
「仲がいいんだな」
微笑まれ。
決して、深い意味はないのかもしれないけれど。
泉夏の心は哀しさと怒りが入り混じる。
「…ただのご近所さんです。昔から妹のように可愛がってくれて」
-それ以上でもそれ以下でもない仲。
言い捨てる。
泉夏が快く思っていない質問だと悟ったのか-秀王もそれ以上は追及はしてこなかった。
「『有栖川先生?』とは龍貴は送ってはこない。それで誰が送信してきたかは、だいたい見当がついた。龍貴と親しくて、シロの事を知ってる-」
そこで秀王は泉夏を見つめた。
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