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桜の季節が巡っても
第6章 落涙の夏
どうしよう。
私、耐えられないよ。
こんな辛いお別れなんて。
恋を失うって、こんなに苦しいの。
心に無数の棘が突き刺さる。
痛い。
痛い。
抉られる。
こんなに痛いのに、一滴の血すら流れてこないのはどうして?
私の気のせい?
痛いのも辛いのもただの想像?
私が作り出しているただの幻?
ただの幻想だとしたら、なんでこんなに?
机の一番上の引き出しを力任せに開ける。
その拍子に微かな金属音。
小さな何かが部屋の絨毯の上に落ちた。