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桜の季節が巡っても
第6章 落涙の夏
あの日から大切にとっておいた、ノート。
乱暴に一番最後のページを捲る。
間に挟めてあった小さな紙片-名刺が宙を舞う。
見開き-ノートを手で引き裂いてやろうし。
「…っ」
ぽたぽたと雫が落ちてきた。
赤い花の上にそれはやむ事なく、降り注ぐ-。
「…出来ない。出来ないよ、先生…!」
あなたとの思い出を、破る事なんて。
破り捨てる事が出来るなら、まだ救われるかもしれないのに。
ノートを掻き抱き、その場に崩れ落ちる。
あのひとの書いてくれた花に頬を寄せ、号泣する。
涙に濡れ、薄っすらと消えかかる花丸。
いけない-思い出でまでもがなくなってしまう。
泉夏は瞬間涙を止め、ノートから顔を離す。
ピンクの指先で、水滴をそっと拭き取った。
乱暴に一番最後のページを捲る。
間に挟めてあった小さな紙片-名刺が宙を舞う。
見開き-ノートを手で引き裂いてやろうし。
「…っ」
ぽたぽたと雫が落ちてきた。
赤い花の上にそれはやむ事なく、降り注ぐ-。
「…出来ない。出来ないよ、先生…!」
あなたとの思い出を、破る事なんて。
破り捨てる事が出来るなら、まだ救われるかもしれないのに。
ノートを掻き抱き、その場に崩れ落ちる。
あのひとの書いてくれた花に頬を寄せ、号泣する。
涙に濡れ、薄っすらと消えかかる花丸。
いけない-思い出でまでもがなくなってしまう。
泉夏は瞬間涙を止め、ノートから顔を離す。
ピンクの指先で、水滴をそっと拭き取った。

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