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桜の季節が巡っても
第6章 落涙の夏
なんとか大丈夫そう-安堵したところで、爪先に当たる何かに気付く。
先程乱暴に引き出しを開(ひら)いた際に、飛び出してきた-。
そろそろと、拾い上げる。
目の高さまで持ってゆき-ああ、忘れてた。
どうして昨日のうちに返しておかなかったのか。
今更後悔しても遅い。
そもそもこれが彼のものだという確証はない。
ただの自分の勘。
けれど。
きっと彼は私と同じように、何かを探してた。
そうでなければ何故私と同じように、あの日あの場所でしゃがんでいたの?
どうしてあんな出逢い方をしたの?
あなたのなの?
何度も訊こうとした。
でも、無理だった。
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