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桜の季節が巡っても
第6章 落涙の夏
「特に他人より何か秀でても、魅力があるわけでもない。どちらかと言うと、劣っていると思って今までずっと生きてきたから、最初に言われた時は信じられなくて。こんな自分のどこをって…それでつい、あんな言い方をしてしまった」
「先生が秀でてないって言ったら、他の人はどうするんですか。…私なんか、それこそどうすればいいんですか。先生を好きだなんて、おこがまし過ぎるじゃないですか」
あまりにも完璧なひとで、身の程を弁えない恋。
あまりにも釣り合わない-承知していた。
それでも。
幾度も。
幾度も。
恋に堕ちてしまった。
あなたからしてみれば、やっぱりおかしかった-?
「大学一成績を厳しくつけると有名だった准教授の試験で、二度も最高ランクの評価をもらった学生が何を言う」
突如横から言われ、泉夏は俯いた顔を上げた。
「それは誇りに値する事じゃなかったのか?」
秀王の双眸が泉夏を射抜く。
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