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桜の季節が巡っても
第7章 傷心の秋
「予想もしない恋の結末だったな」
泉夏の話を最後まで聞いていた龍貴の横顔が、薄っすらと笑った。
車の助手席に座った泉夏は返事をする事もなく、車窓の外に目をやった。
「そんなにやつれるくらいなら、いっそアメリカまで追いかけて行けばいいじゃん」
「…」
「その髪もさ…俺はよく分かんないけど、女にとって髪は生命(いのち)なんじゃないの?三十センチぐらいも切ったろ?」
「…告白して断られたのに、追いかけてなんか行けるわけないし。そもそも大学生の分際で現実的に無理だし。…髪の毛は、長くなり過ぎてたから切ろうと思ってたの。ちょうど良かった」
流れる景色を虚ろに眺めながら、泉夏は呟いた。
「でも好きとも確かに言われてないけど、嫌いだときっぱり断られたわけでもないよな、その言い方だと」
信号で車を停車させた龍貴は、意味あり気な視線を送った。
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