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桜の季節が巡っても
第7章 傷心の秋
「だからそういう意味じゃなくってっ」
完全に彼のペースに乗せられて、泉夏は顔を真っ赤にさせながら叫んだ。
「…ただ口紅がちょっとついてたから、大丈夫かなあって」
次の台詞は対して小さく、泉夏は言った。
なんだそれ-龍貴は吹き出した。
「ついちゃったら…龍が困るかなって」
まだ赤い頬のまま、泉夏は呟く。
「そんなどうでもいい事をいちいち気にしてたの、お前」
「だって」
「俺はそんなの全く気にも留めてなかったけど」
「…でしょうね」
まあ、もしついたとしても-龍貴は咥えていたセブンスターを離し、口唇を舌先で舐める。
「こうするからいいかな」
極上の魅惑的な仕草に、なんとも思っていない泉夏でさえ、危うく惹き込まれそうになる。
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