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桜の季節が巡っても
第7章 傷心の秋
すんでのところで我に返り、増々頬を染めて泉夏は大声を張り上げた。
「もう!やらしいのはどっちよっ」
これ以上彼と言い合っても絶対に勝てない-そう判断して、無言で窓の方を向く。
それを見ていた龍貴はちょっとからかいが過ぎた事を内心反省し、苦笑した。
「さっきよりはだいぶ元気になってきたから、まあいいじゃん」
「え?」
泉夏は面を上げた。
「無理して煙草なんか吸おうとしなくても、そのうちちゃんと忘れられるから心配するな」
煙草を揉み消しながら、さり気に龍貴は言った。
「…!」
見透かされていた事に驚き。
そして相変わらずのその優しさに、泉夏は心が震える。
こうやって何倍にもして後で必ず助けてくれるから-だから何をされても、結局許してしまう。
「…ありがと、龍」
泉夏の言葉に、龍貴は笑って小さく頷いた。
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