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桜の季節が巡っても
第7章 傷心の秋
「…なんか大人になるって色々大変なんだね」
泉夏の呟きに、龍貴はシートベルトをかけようとしていた手を止める。
「なに、その非常に深い意味がありそうな一言?」
「いや、なんか大人になるって楽しい事だけじゃなく、寧ろ反対の事の方が多いのかなって」
軽く唇を噛み締める。
「十歳も年上のひとに恋して、去年はせめて年だけでも釣り合いたくて、とにかく早く大人になりたくてしょうがなかった。先生の講義の日には背伸びして、一生懸命お洒落して、お化粧して…そうやって二十歳(はたち)になる日を待ち望んでたのに」
泉夏は遠い目をする。
「いざ実際なってみたら、失恋を引きずる毎日だし、煙草の味はやっぱり想像していた通り不味いし。私、全然変わってない。変われない。二十歳(はたち)になったらすぐ大人になれるんじゃなかったの。煙草の一本や二本、余裕で吸えるようになるんじゃなかったの」
「速攻では無理だろ」
龍貴は笑う。
泉夏の呟きに、龍貴はシートベルトをかけようとしていた手を止める。
「なに、その非常に深い意味がありそうな一言?」
「いや、なんか大人になるって楽しい事だけじゃなく、寧ろ反対の事の方が多いのかなって」
軽く唇を噛み締める。
「十歳も年上のひとに恋して、去年はせめて年だけでも釣り合いたくて、とにかく早く大人になりたくてしょうがなかった。先生の講義の日には背伸びして、一生懸命お洒落して、お化粧して…そうやって二十歳(はたち)になる日を待ち望んでたのに」
泉夏は遠い目をする。
「いざ実際なってみたら、失恋を引きずる毎日だし、煙草の味はやっぱり想像していた通り不味いし。私、全然変わってない。変われない。二十歳(はたち)になったらすぐ大人になれるんじゃなかったの。煙草の一本や二本、余裕で吸えるようになるんじゃなかったの」
「速攻では無理だろ」
龍貴は笑う。

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