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桜の季節が巡っても
第7章 傷心の秋
「龍ってたまにはいい事も言えるんだね」
泉夏の率直な感想に、龍貴は苦笑いした。
「一応お前より十年は長く生きてるからな。その分時々だけど、的確なアドバイスの一つや二つぐらいは出来る」
-だから困った時は頼れって言ったろ?
板ガムを口に含み、龍貴は泉夏を見た。
見つめられなんだか気恥ずかしくなり、泉夏は目線を外す。
「…で。その髪は、十年かけてやっと普通に出来るようになったのね」
家の玄関で久々に会って以来、密かにずっと気になっていた事をようやく口にする。
龍貴は苦笑いを継続させながら答える。
「まあな」
「どういう心境の変化?」
不審気に泉夏は、龍貴をじっと見遣る。
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