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第7章 傷心の秋

『なんでかなあって今日また思ったから、訊いてみただけなんだけど』
真面に彼の顔を見ていられない。
俯いていると暫くの間を空け、龍貴の声がした。
『好きだからに決まってる』
『え？』
逸していた視線を合わせる。
『この前伊東君に教えてあげた時、お前もいたじゃん』
『あれはまた彼をからかっただけでしょ』
泉夏が軽く咎めれば、龍貴は口角を少し上げた。
『まあ、彼が知りたかった意味での好きなとはちょっと違うかもだけど。じゃあどんな好きかと言われたら、複雑でまた返答に困るけど。でもすげー好きだし、すげー大切に思ってる。なんでそんなに好きかと言われたらまた困るけど、好きなものは好きだとしか言えない。だから何かあったら助けてあげたいと思うし、お前の言う通り誰ともちょっと違う存在』
－それじゃだめ？
見る者を激しく魅了する微笑みを、龍貴は泉夏に送った。
愛の告白－ではないだろうけど、その誘うような表情で見つめられれば、動揺せずにはいられない。