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桜の季節が巡っても
第7章 傷心の秋
「え、何?流川も吸ってみたの?」
かなり意外だったらしく、食いつかれる。
「うん。私も夏の間に二十歳(はたち)になったんだけど、昨日初めて一回だけ吸ってみた」
悪戯な子供のような笑みを泉夏は浮べる。
「全然吸えそうもないって、すぐに龍に取り上げられちゃったけど」
言ってから、また焦る。
どうにも今日は龍貴から話が逸れてくれない。
しまった-表情に出てしまっていたのか、大樹は薄く笑い、続きを促してきた。
「お兄さんに貰った煙草?」
「…うん」
訪れる沈黙。
どんどん居心地が悪くなってきており、早く駅に着こうと泉夏が足を速めたその時。
背後から自転車のベルの音がした。
大樹に肩を少し強引に抱かれた。
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