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桜の季節が巡っても
第7章 傷心の秋
「会社に車置いてきたから、帰りはタクシーになるけどいい?」
「それは全然いいんだけどさ、禁煙は…」
「疲れた時には吸わないとやってられない。明日は休みだから、明日から努力してみる」
わけの分からない事をいい。
龍貴は煙草を持った右手の肘をテーブルにつき、コップの水を一口含んだ。
「これが酒だったら最高だったのに。…泉夏、お前煙草はだめでも酒は飲めるだろ」
龍貴は煙草の灰を灰皿に落としながら、隣りの泉夏を見た。
「流川家、全員めちゃくちゃ酒強いじゃん。お前も相当飲めるはずだ」
「まだそんなに飲んだ事はないけど…まあ、数杯で具合悪くなったりはしないかな」
「だろ。なら今日、こんなファミレスじゃなくて酒飲めるとこにすれば良かった」
「こんなってさ…だって麻衣はまだ誕生日きてないよ」
「二十歳(はたち)の法律きっかり守ってる奴なんて今時いねーだろ。大学入学したと同時に上級生に交じって、皆とっくにアルコールデビューしてるって」
とんでもない事を言い出す龍貴に、泉夏は頭が痛い。
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