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桜の季節が巡っても
第7章 傷心の秋
「そう、俺」
泉夏の問いかけに、大樹は安堵を含んだ息を洩らした。
それもそうだろう。
龍貴が嗤ったように春に連絡先を聞き出してから、これが彼からの初の電話での会話だったから。
「ごめん、突然…今、電話大丈夫?外?」
自動車の音がスマートフォンを通じて聞こえるらしかった。
「うん。来週提出のレポート書こうと思って…これから図書館に行くところ」
「あ、そうだったんだ?」
「うん」
「…」
中断する通話。
何故かけてきたか分かるだけに、泉夏からは続きを促せない。
意を決したように、大樹はようやく会話を再開させる。
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