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桜の季節が巡っても
第7章 傷心の秋
ただでさえ龍貴と会った後は感化されるらしく、大胆になる彼の事だ。
今日だって遂に電話をかけて寄越した。
尤も、昨日自分が先に電話をした事によりハードルが下がり、かけやすくなったのも関係しているだろうけども-。
黙ったままの泉夏に、大樹は躊躇いがちに口を開く。
「流川にとって、お兄さんってどんな存在?」
「龍?」
龍貴の名を出され、泉夏は大樹に目線をやった。
「どうって…昔から近所に住んでる兄の幼馴染み?」
「それだけ?」
「もうひとりのお兄ちゃん…みたいな感じ?」
「あんな人がずっと側にいるのに、好きになったりしないの?」
「…好きなひとは、他にいたから」
さっきまで久々に色々な事を思い出し、ただでさえかなりナーバスになっているのに。
それをまた掘り起こすような-少しだけ、怒りの感情が湧き上がってしまう。
なのに今日の彼は、更に胸の奥深くに侵入してくる。
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