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桜の季節が巡っても
第8章 忘却の冬
あなたが相も変わらず棲みつく私の胸に、他の何者も入り込む余地はない。
ゆっくり、どうにか忘れようとしているのに。
ゆっくり、癒している最中なのに。
平気で割り込んでくる。
もしかしたら。
もしかしたら、好きになる事があるかもしれない-思っていたけど。
普通にしてたら優しいし、悪くはないのだけど、先を急いでいるように色々されても。
そんなに早くしたって無理。
あなたには私の愛したひとを、決して消せはしない-。
注文していた料理が運ばれてきた。
昨日彼と向かい合って食べた、同じメニュー。
チーズの芳醇な香りが鼻腔に届く。
折角の好物。
料理が勿体ない。
とりあえず今日こそは、美味しく食べたい。
泉夏は、フォークを手に取った。



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