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桜の季節が巡っても
第8章 忘却の冬
「泉夏、伊東君こっち来るよ」
入り口に目線をやれば、確かに彼がこちらに向かっていた。
「明日もし、伊東君と会う事になっても大丈夫だよ。そっちを優先して」
冗談なのか本気なのか、どちらにでもとれる言葉を残し、麻衣は鞄を手に笑って帰ってゆく。
途中、その麻衣と擦れ違いざま二言、三言交わし、大樹は真っ直ぐ泉夏の元までやって来た。
「流川。もし今帰るなら、一緒に帰ろうよ」
大樹が笑顔で話しかけてきた。
うん-それを受けた泉夏は、頷いた。